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考え、議論するフォーラム / コラム

Pepper事業を通して見えた等身大ロボットの強み

Pepper法人事業 事業開発 三石 徹

Pepperの法人向けサービスであるPepper for Bizが2015年に開始されてより、ちょうど3年が経過しました。現在では2,000社以上のお客様に導入頂き、当たり前のように日々Pepperを街中で見かけるまでに至り、大勢の皆様のご協力のもとPepper事業は成功や失敗を積み重ねることで多くの学びを得ることができました。ご協力頂いたお客様・パートナーの皆様に厚くお礼を申し上げると共に、我々が得た学びを是非共有させて頂ければと思います。

1. 等身大ロボットの7つの強み

サービスを開始した当初は、よく「なぜPepperでやらないといけないのか。タブレットでいいじゃないか」とのコメントを頂くことがありました。我々も世界でも先駆けてこうしたロボットの提供を始めたこともあって、当初はうまく説明できませんでしたが、現在は等身大ヒューマノイドであるが故の強みを明確にご提示できるようになりました。以下の7つが我々の経験を通して得た等身大ヒューマノイドの強みです。

 ① エンゲージメント
 ② 人間関係構築(特に子供と高齢者)
 ③ 能動的アプローチ
 ④ メディア(表現媒体)
 ⑤ アバター
 ⑥ 変身
 ⑦ 多言語対応

① エンゲージメント

エンゲージメントとは「人を引きつけアクションに導く力」です。人型であるPepperは、デジタルサイネージやタブレットよりもはるかに強いエンゲージメント力を持っており、この力が様々なお店での活躍に活かされています。

【エンゲージメント実証実験】

こうしたPepperの強みを検証するために、ショッピングモールにてタブレット・Pepper・スタッフのエンゲージメントを計測する実証実験を行いました。
通行人約300人を対象に、キャンペーン内容に興味を持ってインタラクションされた方の割合を比較したところ、Pepperのエンゲージメントはタブレットの2倍、スタッフとほぼ変わらないという結果となりました。

② 人間関係構築(特に子供と高齢者)

特に、子供や高齢者の方々に関しては、エンゲージメントを超えて、Pepperが「人間関係」と呼べるレベルで関係性を構築できることが分かりました。一般販売モデルやCSR活動も含めて、子供や高齢者の方々と「毎日」インタラクションするレクリエーションやプログラミング教育、コミュニケーション等ユースケースが多数確立されました。「引きつける・無視できない」を超えて、多くの方がPepperと積極的に人間関係を構築したいと考えている点は、我々にとってはうれしいサプライズでしたし、この傾向は発売開始から3年が過ぎた今でも変わっていません。

③ 能動的アプローチ

Pepperの強みとして、「積極的に人に声をかけることができる」ということがありますが、この3年間Pepperを様々な販売の現場で実用いただいている中で、実はPepeprは「警戒感をあまり感じさせない」という大きな強みがあることも分かりました。お店で販売員に声をかけられた時に、多くの方はうつむいて無視してしまったり、目を背けてしまったりしたことがあるのではないでしょうか。我々の分析では「販売」のシチュエーションでは、お客様は「売りつけられるかもしれない警戒感」が先立つことから販売員を警戒した反応になります。一方、Pepperのようなロボットには、人の警戒心を和らげ「能動的にアプローチしても違和感がない力」が働きます。この効果は多くのユースケースで活用され、様々な効果を上げています。

④ メディア(表現媒体)

Pepperのような等身大ヒューマノイドロボットは、表現者としての人間の根源的な欲求を刺激します。この強みが特に活かされたのは、弊社の「Pepper社会貢献プログラム」において2,000台以上のPepperを全国の小中学校に配布しプログラミング教育に役立てて頂いたユースケースでした。子供たちの表現したい思いが、プログラミング教育を単調なコーディングではなく、刺激的な時間にしました。2020年に小学校で必修となるプログラミング学習において、子どもたちが自ら進んで学びを進めていくことを可能にするPepperに、私たちも大きな期待を寄せています。
Pepperのプログラミング授業では、終了のチャイムが鳴り終わっても、「もう一回Pepperを動かしたい!」と生徒たちが手を止めないほど、楽しんでいる様子が見られました。

⑤ アバター

様々な活用事例の中で、遠隔操作機能によって障がい者や高齢者の方々がPepperを通してコミュニケーションをとるユースケースがあります。Pepperを通してコミュニケーションしている間は、Pepperになりきることができ、普段は言いにくいことも素直に言えるようになるそうです。ゲームや仮想空間ではアバターを作ることは一般的になりましたが、等身大ヒューマノイドロボットは現実空間でのアバターになり得ます。障がい者や高齢者の方々がPepperを通じた相互サポートがより一層できるようになることを個人的には目指しています。

⑥ 変身

Pepperに関する服飾サービスとして「ロボユニ」や「ロボデコ」も提供されておりますが、等身大ヒューマノイドロボットであるがゆえに、人間と同じように服装によって様々な役割・キャラクターを演出することができます。Pepperの見た目が可愛くなるだけではなく、「制服」によって持っている役割を明確にお客様に伝えることができるようになります。役割が視覚的に伝わることで、よりスムーズなインタラクションの導入へと繋がり、より職場などでの活躍のカタチが深まっていると感じています。

【ロボユニサービスで変身するPepper】

⑦ 多言語対応

現在Pepperは、日本語・英語・中国語・フランス語の4か国語を操ることができます。等身大ヒューマノイドロボットであるPepperは、理論上は無限に対応可能な言語を増やすことができますし、ホスピタリティとの掛け算によってハイタッチなサービス・コミュニケーションを言語の壁にとらわれずに提供することも実現できるようになります。

2. 7つの強みから導き出されるユースケース

こうした7つの強みを理解し、活かしていく中で、現在Pepperが活用されているような様々なユースケースが数多く生まれてきました。この7つの強みの特徴は、足し算ではなく、掛け算で価値を発揮できるところにあり、想像力次第で今後もより多くの強みを発見し、ユースケースを増やしていけると感じています。こうしたことを考え、多くの方々の意見を頂きつつ様々な提案を行っていくことは非常に刺激的であり、もっと多くの皆様と可能性を追求していくことを通じて、今後もPepper・等身大ヒューマノイドを進化させていきたいと考えています。

【等身大ヒューマノイドの強みが活きるユースケース】

【等身大ヒューマノイドの強みが活きるユースケース】